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Channel: 吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート
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「マサズ劇場」 その50 ネットの評判

 「そんなやりとりしてるうちに、もういいかげん嫌になっちゃって。。」ある日の午後、私は初めて来店された女性のお話しを伺っていた。 目の前のビニール袋の中には、100年物の懐中時計と、その時計のものであろう部品の入った小袋が見えている。 「まあどうしても直らないということなら、それは仕方ないと思うんですよ。 ただ元々は動いていた時計なんですから、せめて元の形に戻してくれたらいいのに。...

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「マサズ劇場」 その51 ミニッツリピーター

 「チンチンチン、、、チンコン、チンコン、、チンチンチンチン」 「カンカンカン、、キンコーン」 静かな店の中に、リピーターの音が鳴り響いている。  店の入り口付近で私がやっているミニッツリピーターと、一番奥で岩田がやっているオートマタの1/4リピーター。 どういうわけだか、この春の仕事はずっとリピーター続きだ。...

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「マサズ劇場」 その52 SDGs

 SDGs、、、最近、やたらに目につくようになった造語。 Sustainable Development Goals、つまり 「持続可能な開発目標」 という意味で、エス ディー ジーズと読むようだ。  昼過ぎ、定期整備の時計を持ってきた常連客のAさんは、大学で教鞭をとっている。 入学式の帰りに店に寄ったこの日は、入ってくるなり怒り心頭だった。 「まったく、ホントにあきれますよ。...

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「マサズ劇場」 その53 自分探し

  桜が散ったと思ったらもう四月も後半、ゴールデンウィークは目の前。 事務スペースに掛けてあるうちのカレンダーにはスタッフの休暇予定が書きこまれ、気分はもう5月に入っている。  東村山で店を始めたのは、1990年の5月1日だった。 つまりこの5月で、33年目に入る。 決して成功してはいない。 まあ、今までよくやってこられたなー、というのが実感だ。...

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「マサズ劇場」その54 経済制裁

 「トゥールビヨンの歯車は切っておきました。 土台から切り離して仕上げればおしまいです。あと、パテックのミニッツリピーターの精度試験はテラ(寺田)に引き継いであります。」 「オーケー。 それじゃあ楽しんで。」  一昨日から岩田はゴールデンウィークの休暇に入り、休み前に歯切りを終えたトゥールビヨンのゴールドトレインは、佐々木に託されている。...

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「マサズ劇場」その55 諦めのゴールデンウィーク

 さてさて、ゴールデンウィークもいよいよ終盤。 休暇明けの岩田は昨日前線に復帰して、替わりに辻本と虎太郎が休みに入った。 私も適当なところで一日くらいはと思ったが、、、どうも雲行きが怪しい。  この春は超難物の修復依頼が数点入り、スケジュールが押しつつある。 「キリのいいところで一回手止めて、この時計頼むね。」...

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「マサズ劇場」その56 トレードマーク

ゴールデンウィークを過ぎると、いよいよ暖かい日が多くなる。 帰り道の冷え込みもなくなって、すっかり上着がいらなくなった。 「この時計は間違いなく直りますよ。まったく問題なし。」 「あー、よかったー。 前に、部品が無いから直らないって言われたんですよ。」 あるご婦人がお持ちになったのは、1940年代、OMEGAの腕時計。 まだまだしっかりした作りをしていた頃の手巻きで、いくらでも直せる時計だった。...

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「マサズ劇場」 その57 淳ちゃん

 先週の土曜日の朝、駅に向かって歩いていると、「ウワッ」 左足の底が地面に引っ掛かり、つんのめった。 思わず足を見ると、、左足の靴のソールが剥がれてぶら下がっている。 イヤな感じ、、。  左足だけすり足でヒョコヒョコとホームに降りて電車に乗って、なんとか店までたどり着いた。 「寺田くん、ちょっと悪いな」 「あ、思いっきり剥がれちゃってますねー。 ちょっと脱いで下さい。 直しますから。」...

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「マサズ劇場」 その56 トレードマーク

ゴールデンウィークを過ぎると、いよいよ暖かい日が多くなる。 帰り道の冷え込みもなくなって、すっかり上着がいらなくなった。 「この時計は間違いなく直りますよ。まったく問題なし。」 「あー、よかったー。 前に、部品が無いから直らないって言われたんですよ。」 あるご婦人がお持ちになったのは、1940年代、OMEGAの腕時計。 まだまだしっかりした作りをしていた頃の手巻きで、いくらでも直せる時計だった。...

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マサズ劇場 その57 淳ちゃん

  土曜日の朝、駅に向かって歩いていると 「うわっ!」 左足に違和感を感じて、危うくつんのめりそうになった。 足を見ると、、、左の靴のソールが剥がれ、ブラブラとぶら下がっている。 「なんだよー、、。」  左足だけすり足でぴょこぴょこと歩き、なんとか店までたどり着いた。 「寺田くん、悪いな」 「あー、思いっきり剥がれてますね。 脱いで下さい。 今、直しますから。」...

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「マサズ劇場」その58 ギャンブル

 「うわっ、なんだこりゃ。こりゃあキテるなー!」  グランソネリの文字盤を取り去った岩田が、思わずデカい声を出した。  「ははは、、、そんなにすごいんだ。」 「すごいなんてもんじゃないっすよ。 スネールダメ、ラックもスプリングも歯車も全部ダメ。ツツカナも改造品だし。 しかもあちこちハンダと接着剤まみれで、、これ、ほとんど全部作るようですよ。」 「なるほど。...

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「マサズ劇場」その59 夢枕

 今朝がた、Peterが夢枕に立った。 「マサ、難しく考えすぎだよ」 ニコッとしながら私にそう言って、そこでおしまい。  私の場合、夢の中身は、はっきり目覚めた途端に忘れてしまう。 だから、本当はもっといろいろなやり取りがあったのかもしれないけど、憶えてるのはそれだけだ。  Peter Ryleとは、時計を始めた30年くらい前に知り合って、一時は、渡米するたびに色々教わっていた。...

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「マサズ劇場」その60 Never Give up

 このところ、帰りの寄り道(呑み)が減っている。 金欠なのはいつもの事だからそのせいではないし、どうも体調が悪いとか、仕事が忙し過ぎる、とかいうことではない。 強いて言えば、呑むきっかけに乏しいから。なんか、、気分が上向かないことが多いのだ。  そんなこと言うと、コイツちょっと鬱の気があるんじゃないかと心配されそうだが、、幸い、そうではない。...

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「マサズ劇場」その61 店の夏休み

 「どうだ? 仕上げの方はメドついたか?」 「まあ、そーっすねー。脱進機周りや歯車は一通り終わったんで、、あとは受け板の仕上げが終われば、。」  「こっちはどうだ? クロノのプロトケース、いけそうか?」 「ええ、たぶん大丈夫ですね。 一台目はプッシャーの角度が閉じすぎてて作動感がイマイチだってんですけど、2台目はそこを変えたから良くなりそうです」  「そうか。よし。...

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「マサズ劇場」その62 不完全な美しさ 

 「中島さん、ちょっといいですか?」 「ん? どした?」 「あ、例の仕上げ、、こんな感じになりました。」  開店前にドライバーを手入れしていた私のところに、真下がムーブメントの地板を持ってきた。 学生時代、コートドジュネーブやペルラージュといった仕上げ作業を得意にしていた真下は、、現在、うちで製作中の地板や受け板の、仕上げ担当になっている。...

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「マサズ劇場」その63 詫びの言葉

 「えーっ、なんだよこの予報ー。梅雨の戻り? なんだそりゃ?!」社員旅行で夏期休業にしていた先週の天気予報は、雨、強風だった。 雨だけならまだしも、強風では海に出られない。 これが宴会メインの昭和の社員旅行なら「じゃあ朝から飲もー飲もー」で盛り上がるのかもしれないが、、時は令和。 そもそもが、そういうメンバーでもない。 結局、社員旅行は延期したのだが、店はそのまま夏期休業になってしまった次第。...

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「マサズ劇場」その64 「夏本番」

 「この時計も持ってっていいですかねー?」 「あ、こっちもあった方がいいかな。」  昨日、辻本と寺田が、在庫の時計をひっくり返し、あーでもないこーでもないと選別していた。 「アンティーク時計ショーin 銀座」の出店準備だ。 できる限りたくさんの時計をカバンに詰め込んで持って帰って、、今朝、「無事、搬入を終えました」と辻本からのライン。...

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「マサズ劇場」その65 「時計の嫁入り」

 今日の午後、Jules Jurgensen の納品が、無事完了した。 スプリットセコンドクロノグラフ付きミニッツリピーターという、いわゆる複雑時計。 何年も前からうちにあった時計だが、、この度、晴れてお嫁に行ったわけだ。  店にある在庫商品はどれもこれも私が選んだものだから、気にいらない時計はない。 でも、「これはちょっと珍しいな。」とか...

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「マサズ劇場」 その66 勘違い

 ずいぶんと久しぶりの投稿になった。 先月半ばの夏休み中に予期せず一家でコロナ感染し、そのまま10日間の自宅療養に入った私が仕事に復帰したのは、今週のはじめ。 実に、半月も休んでしまったことになる。  こんなに仕事を休んだのは創業以来はじめてだったから、正直、ちょっと心配だった。 修理はトラブってないかなー、納期は遅れてないかなー、来店した方に嫌な思いさせてないかなー、なんて感じで、。...

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「マサズ劇場」その67 ゼンマイの話(1)

  コロナの自宅療養なんかしてるうちに8月も終わり、9月も半ばに入っちゃうなーなんて淋しく思っているこの頃。 「中島さん、今、ちょっといいですか?」 時計の精度をチェックしている私のところに、真下がやってきた。  「ん? どした?」 「あ、O さんの時計のゼンマイなんですけど、、どうやらあれ、なんとかなりそうですね。」 「おー、あのデカい時計ね。 使えそうなゼンマイあったのか。」 「ええ。...

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