そんな寅さんのような生活が続いて1年ほど経った頃、私は開店以来2度目の買い付けを計画していた。
一回目の買い付けは、プランタン銀座アンティークパザールの出店直前だったが、、それ以降、時間的にも経済的にも余裕が無くて、買い付けどころではないまま、時が過ぎていたのだ。
その間、不足してきた商品は、ロサンゼルスでアンティークの卸売りをやっていた知り合いに送ってもらってやりくりしていたのだが、、いよいよそれも限界。
なにしろインターネットなど無い頃の話しで、ファックスで送られてくる箇条書きの商品リストから、自分が欲しいものをピックアップするのだが、、、実物どころか写真もないし、間に業者を介すことよって、どうしても割高になってしまう。
やはり、自分で見つけに行かないと、、。
資金に、余裕が出来た訳ではない。
実際、催事の 「水揚げ」 の大半はジャンクヤードの家賃、その他の経費で消えていて、蓄えはいくらも無かった。
でも、オフクロに勧められて国民金融公庫に相談に行ったところ、有難いことに、仕入れ資金を貸し付けてくれるということになったのだった。
さてさて、何処に行こうかな。
「大都市はダメだ。 昔それなりに栄えた、古い田舎街がいい」
I さんのアドバイスを頭に入れつつ地図を広げ、、、しばし考える。
南部はないな。。
ロサンゼルスにいた頃、グレイハウンドバスに乗って、フロリダの最南端キーウエストを目指し、バックパッカーをしたことがあった。
その道中、テキサスやニューメキシコでいくつか不愉快な出来事に見舞われたことがあったから、、、南部に行くのは、どうにも気が進まなかったのだ。
西海岸はダメ、東海岸も、ニューヨークやボストンなどの大きな街はダメ。。
フロリダのような、観光地も除外。
それじゃあ、、、真ん中あたりか、。
そんな成り行きで、、結局私は、イリノイ州のシカゴから入り、インディアナ、オハイオ、ケンタッキーあたりまで走り回ってみようということにしたのだった。
(続く)