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Channel: 吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート
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「回想」 その17

  寝不足気味で迎えた翌日、アンティークバザール終盤戦。 ジャンクヤードは、それまでずっと、泣かず飛ばず。 前日の売れ行きが発表される朝礼で、、、毎朝、肩身の狭い思いをしていた。 それがどういう訳だか、、、その日から、突然売れ始めたのだ!   開店直後の 「ウォルサム腕時計」 に始まり、クラスリングやジュエリー数点が、立て続け。...

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「回想」 その18

  プランタン銀座アンティークバザールは、2週間の会期を終えた。 初めてづくしの私にとっては、長かったような短かったような2週間。 鳴かず飛ばずだった前半に対し、ミーちゃんの出現以降、後半はそれなりの成果が上がり、、、課長から 「ジャンクヤードさん、次回もよろしくお願いしますよ!」 とお声掛けが。 すんでのところで首の皮が繋がり、、、ホッと胸を撫で下ろしたのであった。...

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「回想」 その19

  そんな寅さんのような生活が続いて1年ほど経った頃、私は開店以来2度目の買い付けを計画していた。 一回目の買い付けは、プランタン銀座アンティークパザールの出店直前だったが、、それ以降、時間的にも経済的にも余裕が無くて、買い付けどころではないまま、時が過ぎていたのだ。...

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「回想」 その20

  初めて降り立つシカゴ、オヘア空港。 港内のレンタカー屋で無駄にデカい 「フォード」 のワンボックスを受け取り、、、悦ちゃんと2人、地図を見ながらなんとか空港エリアを脱出。 フリーウェイに乗って、街を目指して走る。  やがてビル街が近づくと、フリーウェイのサインボードに 「Chicago loop 」 の表記が。 「ん?loop? なんだそれ?」 「なんだろ?...

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「回想」 その21

 インディアナ州に入る頃になると、フリーウェイの周りは農地と牧草地ばかりになった。 どこまで走っても景色が変わらず、、話しでもしていなけりゃ眠ってしまいそう。 しかしフリーウェイの遥か先を見上げると、、どういうわけか、突然「Antipues」 の巨大な看板が出てくるではないか!   「アンティークショップ?こんなところに?!、、、よし、行ってみよう!」...

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「回想」 その22

 さてさて、、車に載せたら一杯になってしまったからといって、買った品物を返品する訳にはいかない。 何しろ、ついさっき 「遠く極東の地から来た甲斐があった」 だの 「ここの品物は特別に素晴らしい」 だの言いながら、、、ご主人とガッチリ握手まで交わしたばかりなのだ。いや、仮にそれでいいと言われたとしても、、、私はこの荷物をジャンクヤードに持って帰りたいのだ。   「どうするの?」 「んー、、。...

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「回想」 その23

嬉しいことに、インディアナポリスは、予想以上にアンティークだらけの街だった。 数十軒の店が一緒になっている大規模なアンティークモールや、雰囲気たっぷりな個人店。 そして週末に出くわした、郊外のアンティークフェア。 心配だった 「トラック&フォードの連結車両」 の運転も、とりあえず何とかなっていたし。   連日あちこち走り回り、目ぼしいものを拾って歩いてはトラックに放り込む。...

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「回想」 その24

 「それ、その八角形のやつ見せて下さい」 右側の端の方にあった八角形の懐中時計が目に留まった私は、反射的に指差した。 「ああ、これですね。 はい、どうぞ。」    金張りが、ちょっと剥げているが、、掌にすっぽり隠れるくらいの、程良い大きさ。 文字盤は銀色の地に、黒い算用数字。 1930年代の腕時計でもよく見るタイプの文字盤だが、、、メーカーの銘はどこにもない。...

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「回想」 その25

 シカゴに行くようになって以降、ジャンクヤードはだんだん時計屋らしくなっていった。 現地の仲間に勧められて米国時計協会に入会し、催事の合間を縫っては年に三回ほど全米各地の会合に参加し、時計を買ってくる。 ヴィンテージの腕時計に加えて懐中時計も増えていって、必然的にお客さんも時計ファンが多くなっていった。...

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「回想」 その26

 バラバラになった手巻きの腕時計の部品は、思ったより数が少なかった。 複雑に噛み合った部品が手に負えないくらいあるのではと思っていたが、、あれっ、こんなもんか、と拍子抜けするほど。   事務机の上にお菓子の箱の蓋を置き、部品が周りに飛び散らないようにその中でひとつひとつの部品を観察してみる。 しかしルーペで拡大して部品を見てみると、、、やはり細部はかなり精密。...

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「回想」 その27

 「マサちゃん、ちょっといい?」 事務机で時計いじりをしていたある昼下がり、大家の山尾さんがジャンクヤードに入ってきた。 八坂商店街の他の面々同様、同じ並びでご主人と金物屋をやっているこのお婆ちゃんも子供の頃から見知った仲で、ちょいちょい世間話しをしに入ってくる。 いつも飄々としていて、良い意味でざっくばらん。 若いころは絵描きをやっていたこともあるようで、、今風に言うとちょっと 「天然」...

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「回想」 その28

 店舗面積が1.5倍になって狭いながらも専用の作業スペースが出来た私は、益々時計いじりに精を出した。 店頭にある時計の分解、洗浄、組み立て、注油をひたすら繰り返し、組み立てた時計が動き出しては悦に入る、ということの繰り返し。 しかしそれが巧くいくのは壊れていない時計に限り、、、部品が壊れていたり無くなっていたりするのを発見した場合は、その時計を諦めなければいけない。...

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「回想」 その29

 ジャンクヤードにHさんというスタッフが加わったおかげで、私の時計修理は少しずつ本格的になっていった。 何しろ彼はアンティークのことも時計のことも詳しい上に話し上手だったから、お客さんの相手はみんな彼がしてくれる。 私はひたすら店の奥で商品の整備に精を出していればいいし、そのうち彼に留守を任せてはシカゴに行って時計や工具を買い込んでくるというようなことも出来るようになった。...

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「回想」 その30

  「山尾さーん」 「 はいはい、 、ちょっと待ってよ。 おー、マサちゃんか、どうした?」山尾金物店の店内から2階に続く、狭くて急な階段。 その階段を、一段一段踏み締めながら難儀そうに降りてきたのは、山尾さんの旦那さんの方だった。...

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「回想」 その31

  皆さん、大変遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年も 「回想」 続きます。引き続きお付き合いの程、よろしくお願い致します。                            2018 1月12日 店主  2階にスペースができてから、不体裁ながら、ジャンクヤードはかなり店らしくなった。 Hさんが居る一階には、手に取りやすい価格の腕時計や雑貨、アクセサリー。...

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「回想」 その32

 2階の工房ができて、2年が経っていた。 その間、相変わらず百貨店や地方の催事の出店は続いていたが、週末の露天の骨董市は辞められるようになり、そのせいか店の馴染み客は増えてくれた。 おかげで支払いの緊張状態はいくらか緩和して、、30半ばになった私はようやく実家を離れ、店の裏手のアパートで、気ままな独り暮らしを始めたのだった。...

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「回想」 その33

 名古屋骨董祭の数か月後、時計師志望の岩田は、岐阜の山中から東村山にやって来た。 まずは不動産屋に行き、近所の焼肉屋の2階にアパートを確保。 そして一旦郷里に戻ってから引っ越しのために再度上京し、ジャンクヤードに初出勤。 週休1日、12時~24時までの12時間労働、、、今風に言えば 「ブラック」 な勤務の始まりだ。...

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「回想」 その34

 修理の受付けを始めるようになってまず最初に預かったのは、常連さん達の時計だった。 実際のところ、以前から 「前から持ってる時計、直してもらえると有り難いんだけどなぁ」 などと言われていたのを、ずっとお断りし続けていた経緯があったのだ。 有難いことに皆さん色々と持って来てくれて、開始早々、それなりの仕事量になった。...

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「回想」 その35

 全ての催事を辞め、店の仕事に専念するようになってから、一年ほど経っていた。 それまで同様、私と岩田は2階で時計の修理。 Hさんは、一階の営業。 そしてアメリカから戻った悦ちゃんは、1階と2階を行ったり来たりしながらお客さんに対応するスタイルに定着。 思えば、開店以来10年近くずっと催事続きだったから、、それまでそんな風に人間も商品も揃っていたことはなかったのだ。...

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「回想」 その36

 東伏見で新青梅街道を右に折れ、五日市街道に入ると、、間もなく吉祥寺に着いた。 Kちゃんから車中で聞いた話しを要約すると、おおよそこういう内容だった。   バブル経済が弾けてから10年経つが、その間、東京の地価は下げ続け、今もまだ下げ止まったまま。 彼女が地元の武蔵野近辺で調べてみたところ、あり得ない安値で売りに出ている商業ビルが沢山あることが判明。...

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