10月8日金曜日
今日は(愛妻)弁当が無いから、駅ビルの総菜屋で何か買わないと。
あ、違う違う。
別にかみさんの機嫌を損なうようなことをした訳ではなくて、たまたま時間がなかっただけのことですよ(笑)
弁当は、たいてい駅ビル中、アトレの地下食品街で買う。
トンカツ、パスタ、うなぎに焼き鳥、韓国の惣菜など和洋なんでも揃っているが、私が買うものはたいがい決まっていて、少なくともこの数年は同じ店でお世話になっている。
美味しくてボリュームもあるし、懐にも優しい鶏の店。
別の店で浮気することもたまにはあるが、、結局はここに戻ってきてしまう。
私は、もともとそういう性質なのだ。
それはともかく、こういった店で買い物するときに、ちょっと気になることがある。
それは注文が済み、お勘定をする時。
鞄から財布を取り出し代金をプレートに置くが、たいていはお釣りがあるし、ポイントのつくアトレカードなんかも出しているから、それを返されるまでは財布を開けて手に持っている。
ところがたいがいの店で、 「お品ものを先に」 と品物を先に差し出し、それに続いてお釣りやカードを渡されるのだ。
なんでだろう ?
こっちとしては、片腕にはカバンを掛け、手には開いたまんまの財布を持っているから受け取りにくい。
もしかすると、店側としてはそういう風にするようなマニュアルかなんかがあるのかもしれないけど、、。
「あ、ちょっと置いといてね」
その店では、そんな風に言って一旦品物をカウンターの上に置いてもらい、釣銭とカードをカバンにしまってから品物を受け取るようにした。
それを繰り返すうち、何人かのパートさんは私のことを覚えてくれて、今では、何も言わなくてもよくなったのだ。
もっとも新しいパートさんが入った時は、やっぱり同じことを言わなければならないが、、。
いずれにせよ、こうなると楽ちん。
決まったその店に通い続けるのには、そんなこともあるのかな。
でも一度、「おっ」 と思ったことがあった。
その日カウンターの向こうにいたのは、見慣れない新顔。
まだ若い娘で、、よくよく見るとフィリピンかタイ人のようで、クリクリッとした目をしていた。
いつも通りの注文をして財布を出し、身構える私。
来るかなー、と。
弁当をレジ袋に入れ、取手のところをクルクルと捩じるまでは、その娘も同じだった。
でも腕にカバンを掛け、開いた財布を持っている私を見たその娘は、、、黙ってカウンターの上に品物を置いたのだ。
「ハイ、93円とカードのオカエシです。」
受け取ったお釣りとカードを私がしまうと、、彼女はにっこり微笑んで品物を差し出して、「アリガトウゴザイマシタ!」
彼女の機転に感心した私は、弁当を下げて店に向かい、、若い連中にその話しをした。
決められたマニュアルで動くのではなく、相手の都合、相手の身になって柔軟に対処できる素晴らしさ。
それは、デジタル社会にどっぷり漬かった日本の若者にとって、これから最も必要なことなのだ、と。
いわゆる、つまらん説教だ。
「そうですねー」 「ええ、確かに」
連中からはそんな感じの反応が返ってきたが、、、こっちは心中の想像がついている。
「大したことでもないのになぁ。」 とか 「どうでもいいことだと思うけどなぁ」
下手すりゃ 「うるさいジジイだなー」 なんてとこかも?
チラッとでもそんな顔をしたら恐るべきパワハラを受けるのが判っているから、皆、とりあえず神妙な顔をしていたが(笑)
まあ確かに、大したことではない。
品物を渡されたら、一旦受け取った弁当の袋を腕に掛けて、小銭やカードを収納すればそれで済むこと。
だいたいが自分でも、若い頃にこんなちょっとしたことを気にした記憶は一度もないのだ、、。
歳を重ねて、口うるさくなってゆきたくはない。
いつも文句、説教では、周りに煙たがられる年寄りになってしまうし、、そうでなくとも、、、うちでは家族から 「もん君」 なんて呼ばれているのだ。
わかっちゃーいる。
わかっちゃいるが、、それでもやっぱり、ちょっとしたことに気が付くと、自分のことは棚に上げて、つい説教したくなっちゃう。
歳を重ねるごとに丸くなり、円熟してゆく老人がいる。
決して文句を言わず、説教をせず、いつも鷹揚にニコニコ。
自分もそんな爺さんになりたいが、、、これって、、ホント究極の難題だよなぁ、、。